今までは全く別業界で働いていたとしても、社会人になってから保育士の資格が欲しくなることもあるでしょう。
保育士は常に人手不足で、資格さえあれば働く場所の選択肢はぐんと広がります。子供を育てるやりがいもあります。

私自身、全く保育士とは関係のない大学を出た後、30歳になってから保育士の資格を取得しました。
さて、働きながら保育士資格を取得するには、主に二つのルートがあります。ひとつは、「保育士試験」に合格することです。もう一つは、保育士養成課程を持つ「通信制大学」に入学することです。
私は「保育士試験」で資格を取得しましたが、人によってどちらのルートを取ったらよいのかはかなり違うと思います。
今回は、自身の経験をもとに、保育士になれる二つのルートを比較していきます。
これから保育士資格を取得しようと考えている人は、ぜひご覧ください。
社会人が保育士になるには?「保育士試験」vs「通信制大学」
まずは、社会人が保育士資格を取得する二つの方法を簡単に解説します。
一つは、「保育士試験」です。この試験に合格すれば、保育士資格が取得できます。
試験は、学校教育法による大学や短大を卒業していれば、学部や学科を問わず、受験ができます。事前に教育実習を受ける必要もありません。また、高卒であっても特定の要件を満たせば受験できます。
詳しくは、以下の保育士試験のサイトを確認してください。
短期間で試験に受かれば、半年で資格取得をすることも可能です。ただし、試験になかなか合格できず、保育士資格取得をあきらめてしまう人もいます。後述しますが、保育士試験の難易度は比較的高めなのです。
一方、通信制大学(短大)で開設されている保育士養成課程で学び、保育士資格を取得することも可能です。
通信制大学(短大)での学習は、基本的には自宅でテキストや動画を見て勉強を進めていくスタイルなので、仕事をしながらでも学びやすいです。すぐに資格を取得することはできませんが、学校のサポートを受けながら、じっくり知識を身に付けていくことができます。
仕事や家事を続けながら資格を取得したいなら、どちらを選ぶべきなのでしょうか?次からは、二つの保育士資格取得ルートについて、メリット・デメリットを紹介していきます。
コストと期間にメリットありの「保育士試験(独学・通信講座)」
保育士試験で資格取得を狙う場合、その最大のメリットは圧倒的なコストパフォーマンスの良さにあります。
保育士試験の受験料は、約1万3千円です(2026年現在)。
市販の参考書と格安の通信講座を組み合わせれば、総額費用は10万以内に抑えることも可能です。

私は、保育士試験の受験料(当時は1万2千円)+参考書代+通信講座の費用で大体8~9万程度で済みました。
これは、通信制大学に通う際の学費と比べれば、はるかにリーズナブルです。
また、保育士試験は年二回試験が実施されており、受験機会が豊富です。受験対象であればすぐに試験を受験できますので、最短半年で合格を目指せます。
できるだけ早く資格が欲しい人、できるだけ費用を節約したい人にはとても魅力的な取得方法と言えるでしょう。
一方、保育士試験のデメリットは難易度の高さです。保育士試験の合格率は毎年20%台を推移している状況です。単純計算しても5人中1人しか合格できない難しい試験なのです。
難易度が高い原因の一つに、試験科目の多さがあります。一次筆記試験は9科目全科の合格が必要です。また、二次実技試験では、音楽表現、造形表現、言語表現のうち、2科目を選んでそのすべてに合格しなければなりません。

ただし、一度合格した科目は3年間(特定施設で実務経験がある場合は最大5年間)受験が免除されるという制度があります。年数をかけて数科目ずつ攻略していく戦略をとることもできますよ。
また、保育士試験は、現場経験ができない点もデメリットになります。
保育士試験は、実習なしで資格を取得できる手段です。実習をしなくていいのは負担が少なく、メリットとも考えられますが、いざ仕事をするとなったときには、現場経験のなさで苦労することもあるかもしれません。
不安な人は試験を受ける前後に保育補助のアルバイトをするなど、自主的に経験を積んでおくのがおすすめです。
保育士試験を短期間で突破するには
保育士試験を格安で短期間で突破するのにおすすめなのは、保育士試験対応の通信講座を上手に利用することです。
講座のサポートが受けられるのは、効率的な勉強をしたい人にとって大きなメリットです。分からないところをすぐに質問したり、最新の法改正情報を得ることができますよ。
また、試験に必要な教材が一気に手に入るのも便利です。本屋を回って教材集めをする手間が省けます。
通信講座の教材で足りないと思う部分、苦手な分野の強化については、後から問題集や参考書を購入して自分で補うのことができます。

私が利用したのは、ヒューマンアカデミーの保育士講座です。特に、実技試験は自分一人では採点ポイントが分かりにくかったのですが、添削サービスを利用することで自信をつけて本番に挑むことができました。
ヒューマンアカデミーは、科目別の講座も開講しているので、苦手な科目だけ受講するというパターンもアリですよ。
確実性と実習経験で選ぶなら「通信制大学(短大)」
通信制大学(短大)で、保育士資格を取るメリットは、資格の取りやすさです。
通信制大学でも、単位をもらうのに試験は必要です。しかし、大学内のテキストに準拠したテストを受験したり、やリポートを書いたりする形になるため、膨大な範囲を勉強しなければならない保育士試験に比べれば単位は取得しやすいはずです。
また、大学の先生やサポートセンターに対して、分からない箇所を質問したり、学習の悩みを相談したりできる心強さがあります。
数年かけてじっくり学ぶことができるので、必要な知識を確実に取得しやすいのもメリットです。
一方、この時間の長さがデメリットに感じられる人もいるでしょう。すぐに保育士になりたくても、所定の期間(最低でも2年)学ばなければ、資格は取得できません。
さらに、その期間の学費も大きな負担になります。通信制大学(短大)は、通学制大学に比べれば学費は安いですが、卒業までにかかる学費は保育士試験の費用よりずっと高いです。通信制大学による違いはありますが、おおむね50万~70万円程度の費用がかかると覚悟しておきましょう。
また、資格取得には実習が必要だというデメリットもあります。実習先を見つける手間や、時間を確保する難しさは社会人にとって負担が大きいものです。ただし、保育士試験の箇所でも指摘した通り、現場経験を経たうえで資格を取得できるのはメリットともいえます。
資格取得後に、実際に保育士として働くことを考えれば、実習経験はマイナスにはならないはずです。
なお、できるだけ負担の少ない通信制大学を見つけるには、複数の大学を比較することが不可欠です。
保育士の資格が取得できる通信制大学は、次のような横断サービスを利用すると見つけやすいです。学費はもちろん、学習システムやサポートの手厚さなども、資料を取り寄せて比較してみましょう。
保育士試験と通信制大学・短大の比較まとめ
保育士試験と通信制大学・短大、二つのルートについて比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 保育士試験ルート | 通信制短大・大学ルート |
|---|---|---|
| 費用 | 約1万3千円の受験料 + 教材費や通信講座の費用(節約すれば~10万程度) | 50~70万円程度〜(学校による) |
| 期間 | 最短半年 | 最短2年 |
| 資格取得の条件 | 筆記9科目+実技2分野に合格する | 指定単位を取得(保育実習あり)する |
| こんな人におすすめ | ・費用と時間をできるだけ最小限に抑えたい人 ・独学に自信がある人 | ・じっくり基礎知識を学びたい、実習も経験したい人 |
自分のタイプによって、どちらのルートを取ったらよいか選んでください。
また、必ずしも一つのルートに絞ることはありません。最初は保育士試験にチャレンジしてみて、難しそうだったら、通信制大学に切り替えるというような選択肢もあります。
【私の決め手】保育士試験を選んだ理由
私が保育士試験を選んだ理由は、やはり費用が安かったからです。
当時、保育補助としてこども園で働いていましたが、給料はかなり少なく、通信制大学に通う余裕はありませんでした。
また、モチベーションを保つためにも、短期決戦で終わらせたかったという気持ちの問題もあります。最初の4カ月ほど集中して勉強をすることで、最後まで集中力を切らさずに資格を取得できました。
それまで保育士の世界は未経験で、ピアノも弾けず、これで保育士になれるのかと不安でした。しかし、保育士試験であれば、実技で造形表現、言語表現を選べば、ピアノなしでも合格を狙えます。
このときの経験は、次の書籍にまとめています。保育士試験の勉強法を知りたいという人は、ぜひご覧ください。

【さらにステップアップ】通信制大学(放送大学など)で「幼稚園教諭免許」も目指せる!
保育士の資格を取得すると、幼稚園教諭免許への距離もぐっと縮まります。というのも、保育士資格を取得して、一定の実務経験を積むと、「幼保特例制度」を利用することができるからです。
「幼保特例制度」は、保育士が幼稚園教諭免許を取りやすくするための制度です。
現在、保育園と幼稚園の二つの機能をもつ「認定こども園」が増えています。「認定こども園」で働く職員は、保育士と幼稚園教諭免許を持つ保育教諭でなければなりません。
しかし、こども園統合前の保育園では、保育士の資格のみで働いているという職員も少なくありません。そこで、2030年3月までは、保育士の免許だけでも「認定こども園」で働けるという経過措置が取られています。
一方、期限以降に「認定こども園」で職員として働きたいなら、「保育教諭」の免許を取得しなければならないことになります。
そこで、保育士の免許しか持っていない人が、幼稚園教諭免許を取りやすくするための「幼保特例制度」が導入されました。2030年3月までに勤務条件などの一定条件を満たした保育士は、わずか5科目8単位だけで幼稚園教諭の免許を取得することができるのです。
この幼保特例制度は、いくつかの通信制大学で利用可能です。1から保育士免許を取得するときとは違い、実習などはなく、短期間の学習で幼稚園教諭の免許をもらえます。また、学費の負担も軽めです。

私は放送大学でこの制度を利用し、幼稚園教諭の免許を取得できました。

今なら、保育士資格を取得した先のWライセンスも目指しやすいですよ。
まとめ:あなたに合ったルートで一歩を踏み出そう!
この記事では保育士試験と通信制大学、保育士資格を取得できる二つのルートを紹介しました。
少しでも安く、短期間に保育士になりたいなら、まずは「保育士試験」にチャレンジしてみましょう。一度不合格になっても、何度でも挑戦できる手軽さがあります。
一方で、数年かけてじっくり知識をつけたい、保育現場にいきなり出るのは不安だという人は、「通信制大学(短大)の保育士養成課程」に入学してみてはどうでしょうか?
あなたに合ったルートで、保育士の仕事に向かい、一歩踏み出してみましょう。


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