通信制大学は、忙しい社会人や家庭を持つ人々にとって勉強しやすいメリットの多い大学です。また、通学制の学校になじめなかった人にとっても自分のペースで学べる通信制大学のシステムは大きな魅力になります。
しかし、人によっては通信制大学のシステムにデメリットを感じることもあるかもしれません。

この記事では、通信制大学3校に入学した経験のある著者が、通信制大学のメリット、デメリット、そしてどのような人が通信制大学に向いているかについて詳しく解説します。
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通信制大学のメリット
まずは、通信制大学のメリットについて見てみましょう。
学費が比較的安い
通信制大学の大きなメリットの一つは、「通学制の大学に比べて学費が圧倒的に安いこと」です。
例えば、放送大学の場合、卒業までに必要な学費は約77万円とされています。

では、通学制大学にはどのぐらいの学費がかかるのでしょうか。
参考になるのが、文部科学省が出している「国公私立大学の授業料等の推移」という資料です。
表の中の数字は入学年度のものですが、令和3年度で国公立の授業料が50万円台、私立だと90万台です。
通学制大学では入学料も高額です。国立で80万台、公立で90万台、私立だと入学年度だけで100万超えです。

単純に計算して、通学制の大学に一年通う学費があれば、放送大学は卒業できるということになるでしょう。
加えて、遠方の通学制大学で学ぶ場合、学費のほかにアパート代などの生活費も必要となります。
一方、通信制大学は基本自宅で学ぶので、遠方の通信制大学に入学してもアパート代はかかりません。
通信制大学でも、スクーリング(対面授業)時の交通費や宿泊費などがかかるケースはあります。しかし、最近は、オンラインスクーリング、メディア授業で単位をとれる通信制大学も増えています。
これらの授業は、パソコンで遠隔地の授業を受講できる形体です。学生にとっては、スクーリングよりも学習コストを節約できるメリットがあります。
自由な時間帯で学べる
通信制大学のもう一つの大きなメリットは、学ぶ時間を自分で決められる点です。
これは、働きながら学びたい社会人や、育児や介護などで時間が限られている人にとって理想的な学習形態といえるでしょう。
早朝でも、深夜でも、自分の都合に合わせて勉強を進めることができます。通勤時間や昼休みなどのすきま時間を有効に活用するのもよいですね。

夜勤の人、シフトが不安定な人、スポーツや演劇などの活動をしている人にとっても、自由な時間帯で学べる通信制大学は非常に便利です。
人間関係のストレスが少ない
通学制の大学は、一般教養課程では割と多くの人と触れ合えるのですが、学年が進む(専門課程に進む)ごとに人間関係が濃厚になる部分があります。
研究室に所属すると、研究室内の教授、先輩後輩と顔を合わせる機会は非常に多くなります。ゼミの人間関係にストレスを感じることもあるかもしれません。卒論においては担当教授との打ち合わせが必須になります。また、研究室やゼミでの飲み会や交流会もあります。

研究室との相性が悪くて、不登校気味になってしまったり、卒業が遅れたりする人もいます。好きな勉強をしたくて研究室を決めたのに、人間関係の悪化によって大学に通えなくなるのはつらいことです。
サークル活動のトラブルに巻き込まれることもあります。大学入学時は新入生へのサークル勧誘も盛んにおこなわれます。断り切れずよく分からないサークルに勢いで入ってしまい、そこでの人間関係に悩まされることもあるかもしれません。
一方、通信制大学ではその心配はほとんどありません。基本的には一人自宅で学ぶスタイルなので、人間関係の煩わしさが発生する可能性はとても少ないです。おちついて、自分のペースで学ぶことができます。
対人関係に不安がある人にとって、通信制大学のこのメリットは非常に大きいでしょう。
地理的・学力的制約がユルイ
通信制大学は、住んでいる地域や現在の学力に縛られず、入学できるというメリットがあります。
テキスト学習やオンライン授業が中心になる通信制大学は、全国どこに住んでいても自宅で勉強を進められます。
地理的な制約がほとんどないため、地方に住んでいる人や海外に住んでいる人でも、通信制大学への入学がしやすいです。
さらに、多くの通信制大学では、試験がなく書類選考のみで入学できるため、学力に自信がない人でも大学生になりやすいです。
全国に名の知れた有名大学が通信制課程で学生を募集していることもあります。通学制ではとても入学できないような大学でも、通信制課程なら書類選考をパスできる可能性はあります。
例えば慶應義塾大学にも通信制課程があります。

家庭の事情で下宿ができず、憧れの大学に入学できなかったという人は通信制課程がないかどうか調べてみるのも良いですね。
ただし、スクーリングや科目試験を指定会場で受験しなければならない通信制大学の場合は、住んでいる地域と大学との距離に注意を払う必要があります。
遠隔地にある通信制大学に入学する場合は、「卒業するまでに通学する必要があるのかどうか」を確認しておくと安心です。中には、スクーリングなしで卒業できる通信制大学もありますよ。
通信制大学のデメリット
次に、通信制大学のデメリットも見てみましょう。
意志が弱いと挫折しやすい
通信制大学には、学習を続けようとする意志が弱いと、挫折しやすくなるというデメリットがあります。
通信制大学では、自分で学習計画を立て、自主的に勉強を進める必要があります。
自分のペースで学べる自由さがある一方で、自由すぎていつまでたっても勉強が進まないという状況も生み出しやすいのです。
通信制大学においては、疲れているとき、やる気が出ないときは、簡単に「今日は休もう」と学習を後回しにしてしまえます。同級生や先生の目もないため、サボりから抜けだすきっかけがなかなかつかめないのが恐ろしいところです。なんといっても、(テストの申し込みも自分でする形になるので)テスト日程すら後回しにできてしまうのですから…。
結果的に、計画通りに卒業ができず、学費を何年も払い続けたり、途中で退学してしまうことも考えられます。

通信制大学では、自己管理能力が求められることを覚えておきましょう。
人間関係の構築が難しい
通信制大学では、人間関係を築く機会が限られています。
通学制の大学では、キャンパス・研究室での交流やサークル活動を通じて友人を作ることができますが、通信制大学ではそのような機会は少ないです。
煩わしい人間関係に悩まされなくてラッキーと思う人もいる一方で、友達を作るのが難しく寂しいと感じる人もいるかもしれません。
とはいえ、学友会(各地方で行われている通信制大学生の自治組織)やSNSなどオンラインのコミュニティを活用することで、人脈を広げることも可能です。
また、対面スクーリングに積極的に参加すると話し相手を見つけやすいですよ。

ちなみに、放送大学では、各地の学習センターで公認のサークル活動が行われています。友達作りをしたい人は、自分の地区のセンターにどんなサークルがあるのか、確認してみるとよいでしょう。
就職サポートが不十分なときも
通信制大学は、就職サポートが通学制の大学と比べて弱い傾向にあります。
既に仕事を持っている社会人向けのサポートが主流、という大学が多いためです。
特に、高校から直接通信制大学に進学した人にとっては、就職活動のサポートが十分でないと感じることが多いかもしれません。
とはいえ、通信制大学の中には就職サポートを売りにしている大学もあります。

通信制大学卒業後に就職を考えている人は、入学前の段階から就職サポートが充実しているかどうかを意識して大学選びをしましょう。
実習や資格取得の手続きも自分で
資格取得を目指す場合、通信制大学では実習が必須となることがあります。
通学制の大学では付属の施設でまとめて実習が行えることもありますが、通信制大学では基本自分で実習先を探さなければならないことが多いです。
実習先への打診、申し込みなどを自分で行わなければならず、また単身で実習先に出向く覚悟も必要です。場合によっては実習先を見つけるのに苦労する場合もあります。
まわりに同じ立場の仲間がいないので、相談しあえないことを心細く思う人もいるでしょう。分からないところは、大学のサポートセンターに聞いて自力で乗り切る必要があります。
できれば入学前に実習先のあたりはつけておきたいもの。出身校の元担任の先生などにそれとなく実習申し込みが可能か聞いてみるのも手ですよ。
通信制大学に向いている人
メリット・デメリットを踏まえて、通信制大学に向いている人の特徴をまとめました。
自己管理ができる人
まず挙げられるのは、「自己管理能力が高いこと」です。
自由な時間に学べるというメリットを最大限活かすためには、自分で学習計画を立て、それに従って学習を進める強い意志が必要です。
夏休みの宿題を早めに済ませていた人、提出物は数日前に出す習慣が身についている人なら、通信制大学に向いている人といえるでしょう。
働きながら学びたい人
通信制大学は、働きながら学位や資格を取得したい社会人に非常に向いています。
通学の必要がなく、仕事と学業の両立が可能な点は大きなメリットです。
さらに、忙しい日常の中でもすきま時間に学べるため、まとまった時間は確保できなくとも学習意欲の高い人にとっては理想的な選択肢です。
人間関係に悩みたくない人
人間関係にストレスを感じやすかったり、他人と頻繁に会うことが苦手なら、通信制大学に向いている人と言えるでしょう。
他人との煩わしい関わりをできるだけ避けながら勉強に集中できる点は、通信制大学の大きなメリットです。
自分のペースで落ち着いて勉強したいなら、通信制大学はよい選択肢だと思います。
周りに通える大学がない人
通信制大学は、全国どこからでも学べるため、地理的な制約がある人に向いています。
特に地方に住んでいる人や、海外に住んでいる人にとって、通学の負担がない通信制大学は非常に便利な選択肢です。
通信制大学には遠方からでも自宅で学べる環境が整っているため、アクセスに困ることはありません。
ただし、学校によってはスクーリングやテストで一部通学が必要なことがあります。最近ではオンラインで完結する通信制大学も増えていますが、どのぐらい・どこに通学が必要かは事前調査しておきましょう。
通信制大学入学で後悔しないために
最後に、通信制大学に入ってから後悔しないためのポイントを紹介します。
学習目的を明確にする
通信制大学に入学する際には、何を学びたいのか、なぜ学ぶのかといった明確な目的を持つことが重要です。
目的がはっきりしていれば、モチベーションを維持しやすく、サボりたい気持ちを抑えることができるでしょう。
どうして通信制大学に入学するのか、卒業してどんな自分になりたいのか、入学前に明確にしておくことが通信制大学で後悔しないための第一歩です。
また目的に合った大学を選ぶことも大事です。
例えば教員免許ですが、大学に教員免許課程を置いているところと、一部の科目しか開講していないところがあります。後者はすでに教員免許を持っている人向けの大学です。0から教員免許を取りたいのに、一部の科目しか開講していない大学に入学してしまっては後で後悔するでしょう。
詳しくは、次の記事をご覧ください。

自分の状況と目的にあった大学選びは、とても大事です。

通信制大学を選ぶ際は、以下のような検索サイトを利用すると便利です。
様々な条件に合った大学を一覧表示でき、資料も一括で取り寄せることが可能です。
無理のない学習計画を立てる
通信制大学では、計画的に学習を進めることが求められます。
スケジュールを立て、無理のない学習時間を確保できるように努めましょう。
とくにテストとスクーリングは日程が決まっているので、無計画に勉強していると後で後悔することも多くなります。
まずはどれぐらいの年数で卒業したいのかを決め、そのゴールのためにはどのように学習を進めていけばよいのかを具体化していきます。
一人で計画を立てるのが難しい場合は学校に相談すれば力になってくれますよ。
サポート体制を確認する
通信制大学を選ぶ際には、学習や就職のサポートの充実度を確認することが重要です。
オンラインでのサポート体制や、学習センターの利用可能性をチェックし、どのような形で相談に乗ってくれるのかを見ておきましょう。
必要に応じてサポートを受けられる環境を整えることが、後悔しないためのポイントです。

学友会や地方での学習センターも相談相手になってくれますよ。
まとめ
通信制大学には多くのメリットがあり、特に自由な時間帯で学べる点や、学費の安さは大きな魅力です。
一方で、自己管理能力が求められることや、人間関係を築く機会が少ないといったデメリットもあります。
自分に合った学習スタイルを見極め、目的を持って通信制大学に取り組み、後悔のないようにしましょう。
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