英語多読に慣れていき、Graded readersもある程度のレベルまで読めるようになったら、いよいよ語彙制限のかかっていない洋書にチャレンジするときです。
しかし、洋書の種類は千差万別。ここで何を読むかの選択を間違えてしまうと、「Graded readersでの多読は効果なし?」と落ち込んでしまう原因になりかねません。

そこで、この記事では、私の多読経験をもとに、Graded readersから洋書にスムーズに移行するための本選びのコツを多読初心者向けに紹介します。
ぜひ、ご覧ください。
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英語多読の児童書選び。初心者がしがちな挫折の原因とは?
多読に向いている簡単な本といえば、どうしても児童書に目が行きがちです。しかし、「子どもが読んでいるから簡単な本だろう」と考えると、痛い目を見ることがあります。

私もGraded readers卒業後は、英語の児童書で洋書多読の入り口をくぐりましたが、「あれはちょっと失敗だった」という経験もいくつかしています。
ここでは、どのような洋書が挫折しやすいと感じたのかを紹介します。
言葉遊びが多い・造語の多い児童書を選んでしまった
児童書の中には、英語の音のリズムを楽しませる文体で子供を引き付けるものがあります。
しかし、音から英語を覚えたイングリッシュネイティブの子どもではなく、書き文字メインで英語のレベルを上げてきた多読勢にとって、この言葉遊びはなかなか攻略しづらいところがあります。
特に多読では、前後の文章から分からない単語を推測する能力を高めていくものです。
そのため、言葉遊びの流れで、前後の流れと関係なさそうに見える単語がいきなり文に入ってくると混乱してしまうのです。
さらに、児童書の中では作家が自ら作り出した造語がたくさん含まれている本もあります。このような造語は、辞書を引いても分からない場合があり、多読初心者をより混乱させる原因ともなります。
シリーズものの児童書を選んでしまった
英語の多読初心者の段階で、いきなりシリーズものの児童書に手を出すと挫折の原因となることがあります。
実は、私自身Graded readers卒業後、テンションが上がってシリーズものの洋書を一気買いしてみたことがありました。
しかし、シリーズものは一冊読んでも、「終わった」という達成感が味わいづらいものです。伏線回収はずっと後の巻のようですし、残っている巻数を数えるとげんなりしてしまいました。
結局途中でリタイアしたのですが、シリーズ途中で放り出してしまった挫折感、結局あれはどうなったんだろうというもやもや感、まとめ買いしたお金がもったいなかったなあという後悔で、なかなかダメージが大きい結果になってしまいました。
もちろん、シリーズものの児童書は、はまれば続きが読みたくなり、読書量がどんどん増える魅力があります。だからこそ、洋書初心者の段階よりも、ある程度洋書に慣れてきた頃に挑戦するのがおすすめですよ。
まずは一巻だけ買ってみて、読めるレベルに達しているかを判断してみましょう。

ただし、シリーズものでも「シャーロックホームズ」のように一話完結になっているものであれば、全体を読む必要はないので多読初心者にもおすすめです。
独特の世界観がある児童書を選んでしまった
児童書の中には、シュールやナンセンス、ファンタジーな世界観が魅力のものもいっぱいあります。
私も「日本語で読むなら」ナンセンス物は大好きです。
しかし、英語の多読として読むときには、日常から乖離した舞台設定がなかなか重荷になってしまうことがありました。
多読初心者にとっては、文章から場面をどれだけ簡単にイメージできるかが読みやすさのカギになります。しかし、著者の中で独自に作り出された世界観は、読み取るのが結構難しいものです。
また、普段大人向けの小説を読みなれている人にとっては、「こんな展開、アリ?」と納得できないような流れになってしまうかもしれません。
これは児童書が悪いのでも、読み手が悪いのでもなく、単に対象年齢があっていないだけです。気持ちが乗らない読書は多読を挫折させる原因となるので、無理に読み進めるのはデメリットです。
初めて原書に挑戦するとき、「読めない!合わない!」と感じたら、もしかすると児童書のジャンル選択を誤ってしまったのかもしれませんね。
難易度が高い英語が使われていた・話が難しい
児童書とはいっても、難易度が高い英語が使われていたり、話が難しかったりする本もあります。
Graded readersに慣れていると、大人向けの話でも簡単な英語で内容が語られているので、スラスラ英語を読めている気分になってしまいます。
しかし、児童書の洋書は子供向けに書かれているとはいえ、ネイティブイングリッシュの世界です。難易度の高い英語、今まであまり見かけなかった英語がたくさん使われており、なかなか先に進めないこともあります。
また、一口に児童書といってもそのストーリーが分かりやすいとは限りません。一般書顔負けの哲学的な内容や、壮大な物語が展開されたりする児童書もたくさんありますよ。

特に原書に初挑戦するとき「Graded readersで大人向けの話があんなに読めたのに、子供向けの児童書が分からないなんて…!」とショックを受けやすいので、英語初心者は選書には気を付けたいところです。
ハリーポッターの英語洋書は多読初心者には難しい?
日本でも大人気のハリーポッターシリーズですが、実はここで上げた「初心者が挫折しやすい原因」が当てはまりやすい洋書です。
ハリーポッターは、魔法学校を舞台にしたファンタジー小説です。
魔法の世界を表現するため、作者が独自に作り出した名詞や概念がたくさん出てきます。

例えば、muggle(魔法を使えない人)という単語は、有名ですね。あまりに有名になりすぎて、辞書に載るレベルになっています。
また、特徴のあるしゃべり方を表現するために、普通の綴りとは違う形で英単語が登場することもあります。
例えば、シリーズ序盤から登場するハリーの力強い味方、Hagrid(ハグリッド)は、かなり独特の英語をしゃべります(単語の一部が欠落したり、別のアルファベットに置き換わったりしている)。英語を見慣れている人なら脳内補完できるのかもしれませんが、多読初心者にはなかなかきついです。
また、ハリーポッターシリーズは全7巻のシリーズものである上に、1巻1巻の話自体がかなり長いです。

例えば、『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』(Harry Potter and the Order of the Phoenix)はKindle版で807ページもあります。
物語の舞台も、日常からどんどんかけ離れていきます。
最初こそ魔法学校のスクールライフに焦点が当たりがちですが、徐々に魔法界を揺るがす闇の勢力との戦いに話がシフトしていくからです。ハリーの父や母の代から続く壮大なストーリーが展開されるので、一冊で終わる一般書を読むよりはるかに想像力や体力を使うでしょう。
とはいえ、原書でハリーポッターを読むことは、ファンにとって素晴らしい経験になるはずです。だからこそ、英語初心者のうちに焦って読むよりも、他の洋書多読で実力をつけてからチャレンジするのがおすすめですよ。

英語多読で初心者が読みやすい児童書選定のポイント
それでは、多読初心者にとって読みやすい児童書とはどんなものでしょうか。
選定のポイントをいくつか紹介します。
絵が多い児童書
児童書は、豊富な挿絵が含まれているものも多いです。挿絵は、物語を理解するヒントになってくれるありがたい存在です。また、魅力的なイラストは、本を読むモチベーションを高めてくれます。
そういった意味では、少し文字が多めの絵本から原書に挑戦するというのもありです。
例えば「Peter Rabbit(ピーターラビット)」シリーズ。カラフルなイラストがかわいらしい絵本です。リアリティのある画風なので、絵を見ることで動物の名前や状況を理解しやすいですよ。
シリーズものではありますが、一冊ずつで話が完結していることが多いので、好きな話をピックアップして読めばOKという手軽さも魅力です。

話が短い児童書
話が短い児童書は、読む負担を軽減してくれます。読む時間が短くて済むので、忙しい人がスキマ時間に読書するのにも向いています。

また、サクサク読んだ冊数を増やせるので、多読の達成感を高めやすいです。
例えば、児童書を多く手掛けている人気作家「Roald Dahl(ロアルド・ダール)」の作品。
彼の話には短いものから長いものまでいろいろな種類のものがあります。
日本で特に有名なのは『Charlie and the Chocolate Factory』(邦題:チャーリーとチョコレート工場)でしょうか。ただしこの本は、言葉遊びや奇想天外な展開が多く、英語初心者にはちょっとレベルが高いです。
そこで最初は『Fantastic Mr. Fox』(邦題:父さんギツネばんざい)のような短めの作品から挑戦するのがおすすめです。
このお話は、3人の意地悪な農家と賢いきつねの知恵比べの物語です。

Quentin Blakeの素敵な挿絵が豊富なので、絵を見てるだけでもなんとなくストーリーが分かってきますよ。
ストーリーもシンプル、農家対Foxという構図が貫かれているので少しぐらい分からないところがあっても、どんどん先に進めていけるでしょう。
日常が舞台の児童書
日常生活が舞台になっている児童書は、SFやファンタジーに比べて背景が想像しやすいです。
先に紹介したピーターラビットシリーズやMR Fox、どちらも動物が擬人化されている話ですが、世界観は現実と地続きです。特殊な設定は特にないので、物語がすっと頭の中に入っていきやすいです。
私自身、日常が舞台の児童書だと、少し長めのお話でも割と読みやすいという経験をしています。
例えば、『HOLES』(邦題:穴)という作品は、冤罪で矯正施設に送られた少年が主人公です。
矯正施設では、人格矯正の名のもとに、穴を掘らされる地獄の日々が待っていました。しかし、実は穴を掘ることには別の目的があるようで…。
スリリングなストーリー展開がミステリーを思わせ、先にぐいぐいと読者を引っ張り込む作品です。
また、『MATILDA』(邦題:マチルダはちいさな大天才)もおすすめです。
天才的な頭脳を持つマチルダが、その素晴らしさを理解しない両親や意地悪な校長先生といった大人と対決する物語です。大人の理不尽と戦う小さな少女の姿に、子ども時代に抑圧された経験を持つ人はぐっとくるのではないでしょうか。
マチルダの理解者、ミス・ハニーとの血のつながりを超えた友情も素敵です。少しファンタジックな要素(超能力)はあるものの、全体的には日常描写の流れで読めます。
どちらの物語も、ストーリーが長く、一般書並みのボリュームがあるのですが、物語の舞台が想像しやすく、がっつりファンタジー系の児童書よりもサクサク読み進めることができました。

上の二冊は、読み応えのある本を探しているけれど、まだ一般書のレベルには達していないというレベルの方に特におすすめです。
児童書=多読初心者向きとは限らない?
ここまで児童書を中心に紹介してきましたが、児童書ばかりではなく、一般書を多読したいという人もいるでしょう。
英語の多読に大事なのは、好きな本を読みたいというモチベーションです。どんなに簡単な本であっても、おすすめ洋書としてあちこちに紹介されている本であっても、「面白くないなあ」と思った本は多読向けの本としてはいまいちです。

そういった意味で、普段一般書をよく読んでいる大人にとっては、児童書よりも一般書のほうがモチベーションが高まる多読向きの本と言えるかもしれません。
実際、私も多読をしていて、児童書よりも大好きなミステリー小説のほうが読みやすいと感じたことがありました。
ここでは、一般書を読みたい多読初心者が洋書を選ぶポイントを紹介します。
好きなジャンルを選ぶ
まずは、好きなジャンルの本を選ぶことが大事です。
日本語で読んでいる本の中で、好きな本のジャンルがあれば、それに沿った洋書を探しましょう。
一般の洋書を多読に使うメリットは、ジャンルの広さです。Graded Readersや児童書は、ジャンルや話の広がりがある程度限られてしまうデメリットがあります。
しかし、一般書まで手を広げれば、ジャンルは選び放題です。
恋愛小説、ミステリー、ホラー、ノンフィクション、時事ネタ…。様々な洋書から自分好みの一冊を選ぶことは、多読を成功させる大きなポイントになるでしょう。

またインターネット上のニュース記事やブログなどもおすすめですよ。Wikipediaの英語版で関心がある漫画や小説の項目を読むのも結構楽しめます。

すでに知っている話を選ぶ
一般書で多読を進めていきたい初心者は、最初に「すでに知っている話」を選択するのがおすすめです。
例えば、すでに日本語訳で読んだ本、昔話としてなじみのある本は、英語版でも読みやすいです。
途中で少しわからない単語が出てきても、話のあらすじが頭の中に入っているので、飛ばしながらでも全体の流れから迷子にならないで済みます。
短い話を選ぶ(短編集)
原書初心者のうちは、長い話を読もうとするとどうしても息切れしやすいです。そこでおすすめなのが、短い話を集めた短編集で文章に慣れていくことです。
短編集であれば、スキマ時間にも読みやすいです。また、話の内容が合わなかったり、ストーリーが途中で分からなくなった場合は、飛ばして次の話に行くこともできます。
おすすめ洋書「Kwaidan(怪談)」
英語多読初心者が一般書の洋書に初めて挑戦するなら、「Kwaidan(邦題:怪談)」もおすすめです。
2025年のNHK朝ドラ、『ばけばけ』で、ヒロインの夫になったヘブンさん、記憶に残っている人も多いでしょう。
このヘブンさnのモデルこそ、Kwaidanの著者小泉八雲、本名パトリック・ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)です。

Kwaidanには、日本に伝わっている怪奇譚(耳なし芳一、雪女など)がたくさん含まれており、日本人にとっては昔話としてなじみのある話が多いです。
一般書な分、使われている英語は少し難しめに感じるかもしれませんが、各話はとても短いです。読みやすそうな話をピックアップして読めばよいですし、難しかったら次の話に行くこともできます。
時間がない人でも挑戦しやすく、心理的な負担も少ないです。普段読書慣れしていない人にも、挑戦しやすいのではないでしょうか。
特に怖い話が好きという人には、うってつけの洋書多読本になるでしょう。
【経験者が紹介する】 洋書初心者向けおすすめ洋書一覧まとめ
あくまで主観ではありますが、多読経験者から見た洋書初心者向けのおすすめ本を一覧にまとめてみました。
| 本 | 本の種類 | 特徴 | 初心者向け度 |
|---|---|---|---|
| Peter Rabbit | 絵本 | 絵が多く、短い。 | ★★★★★ |
| Fantastic Mr. Fox | 児童書 | 絵が多く、ストーリーが分かりやすい。 | ★★★★★ |
| Matilda | 児童書 | 長めだが勧善懲悪がはっきりしていてストーリーが明快。勢いで読みやすい。 | ★★★★ |
| HOLES | 児童書 | 一般書に近い読み応え。ミステリアスな展開にハラハラ。 | ★★★★ |
| Kwaidan | 一般書 | 日本人に馴染みがある話が豊富。 短編集なので一話一話が短い。 | ★★★ |
最後に
この記事では、Graded Readersを卒業して、洋書に挑戦するときの本選びについて私の体験をもとに解説しました。
Graded Readersでの読書も楽しいですが、ある程度リーディングスキルが身につき、洋書に進んだ時の快感はまた格別なものです。

だからこそ、最初の洋書選びはとても大事です。
洋書にはGraded Readersのようなレベルの目安がありませんから、簡単そうに見えて手に取ったものの、実は案外難しかったという失敗はつきものです。この記事が、簡単な英語の本を探す手助けになれば幸いです。
洋書がスラスラ読めるようになると、英語の多読を続けていてよかったという実感がわいてくるはずです。ぜひ、みなさんが素敵な洋書に出会えますように!
【おまけ】多読の準備に英文法を振り返りたいなら

Graded Readersや洋書を読むときに、どうしても単語ごとに訳をしてしまう、文の塊で読めないという悩みを抱えている人はいませんか?もしかすると、それは英語の構造の基本理解が不足しているからかもしれません。
多読をするとき、細かい英文法を気にしすぎると、先に進めません。
とはいえ、全く英文法の知識がない状態での多読はなかなかハードルが高いものです。特に英文の基本構造である五文型については、基礎知識を身に付けておくとリーディングがかなり楽になると思います。
この点にスポットを当てて作られた絵本が「The Three Ghosts Series」です。
全5話で構成されており、一つの話は一文型のみで構成されています。多読をする前に最低限の英文法を復習しておきたい人は一度試してみてください。

またキャラクターなどのより詳しい解説やこの絵本を作った背景は、こちらの記事に記載していますので、興味のある方はどうぞご覧ください。







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