この記事では、平安時代のおすすめ歴史漫画、恋愛漫画をご紹介します。
戦国時代や幕末を舞台とした歴史漫画にくらべ、案外少ないように感じるのが平安をテーマにした漫画です。しかし、平安時代を舞台にした漫画でも面白いおすすめ作品はたくさんあるのです。
平安時代ならではの恋愛をテーマにした作品はもちろん、陰謀あふれる宮中の権力争い、陰陽師のバトルなど、様々な側面から平安時代を描いた10本のおすすめ漫画を紹介します。
古典を漫画で楽しめる平安時代漫画
『源氏物語』をはじめ、平安時代を舞台にした古典名作はいくつもあります。「読むのは難しそう…」と躊躇しているなら、まずは漫画で世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。
おもしろかったら、古典の現代訳や原典にも挑戦してみてください。
源氏物語 あさきゆめみし
まずは定番の『源氏物語』の漫画版から。
NHKの2024年大河ドラマは、平安時代が舞台の『光る君へ』。主人公は源氏物語の作者、紫式部です。「源氏物語に興味を持ったけれど、古典は難しくて読めない」、そんな人にぴったりの平安漫画がこちらの『あさきゆめみし』!

大和和紀先生による美麗な絵で、源氏物語が楽しめるおすすめ漫画です。
『源氏物語』は天皇の御子として生まれた光源氏の女性遍歴を通して、人の心の動きを繊細に描き出した日本文学の名作です。
『あさきゆめみし』は原典の『源氏物語』に沿って、物語の始まりの「桐壺」編から、源氏の息子とされる薫が主人公になる「宇治十帖」までを見事に漫画化しています。
光源氏だけでなく登場する数々のヒロインの心情の描き分け方も見事です。面白くて古典の勉強にもなる、おすすめ平安漫画ですよ。
なお、原典の現代語訳はこちらです。数多くの小説の名手たちが現代語訳に挑んでいるので、読み比べるのも楽しいですよ。
ざ・ちぇんじ!
『ざ・ちぇんじ!』は、男の子っぽい姫君と、女の子っぽい若君の腹違いの姉弟が互いの性別を入れ替えて出仕するというお話です。
ジェンダーにとらわれない現代的なテーマに見えますが、『とりかえばや物語』という平安時代を舞台にした古典を下敷きにしています。
本作では、明るくさっぱりした姉と、おとなしいけれど思慮深い弟のドタバタ恋愛模様が描かれています。原作の陰鬱な展開は極力抑えられていて、少女漫画的な内容に仕上がっており、コメディタッチの描写も多いです。ラストも気持ちの良いものになっています。

比較的短いので、気軽に平安時代を楽しめる点もおすすめですよ。
なお原典の『とりかえばや物語』はこちらから読めます。
とりかえ・ばや
『とりかえ・ばや』もまた『とりかえばや物語』を下敷きにした漫画ですが、ラブコメ風の『ざ・ちぇんじ』とは雰囲気が全く異なります。
主人公二人は生まれ持った性別と生き方が違うことで苦悩しており、シリアスな描写が多いです。
また天皇の座をめぐる政治がらみの陰謀や複雑な恋愛関係も描かれており、宮廷ドラマの雰囲気が色濃い作品です。

全13巻とボリュームがありますが、読みだすと止まらない面白さがあります。
恋愛漫画としてだけでなく、大河ロマンとしてもおすすめです。
おちくぼ
継母にいじめられている控えめで美人の姫が、身分の高い殿方に見初められて…という平安時代版シンデレラストーリー『落窪物語』。
これを漫画化したのが『おちくぼ』です。
「落窪の君」と呼ばれてみすぼらしい格好で縫物ばかりをさせられている主人公に、プレイボーイ右近少将が興味を持って…。果たして、平安のプリンセスは幸せになれるのでしょうか?

よくある玉の輿ものと思う勿れ。姫、少将はもちろん、サポート役となる各キャラクター達も個性が強く、姫のピンチを救うハラハラドキドキの展開に目が離せなくなるおすすめ平安漫画です。
全6巻のちょうどよい長さなので、一気読みを推奨します!
原典現代語訳はこちらから読めます。
平安時代の有名人物が出てくるおすすめ漫画
次に紹介するのは、平安時代に実在した有名人が出てくるおすすめ漫画です。
平安時代って、たくさんの人物名が出てくるので日本史の勉強をしていても混乱してしまいますよね。
そんな時は、ぜひ漫画の中で平安時代を体感してみましょう。
漫画の内容を楽しみながら歴史の勉強もできるという一石二鳥の作品を紹介します。
応天の門
『応天の門』は、のちの学問の神様「菅原道真」と、歌人として有名な「在原業平」のコンビが活躍するミステリー&歴史漫画です。
学識は高いが人付き合いに難のある若き菅原道真は、とある事件をきっかけに検非違使(平安時代の警察)を率いる在原業平と出会います。
道真の才を見込んだ業平は事件があるごとに、相談に来るようになりますが…。
この作品の特徴は、完結型のミステリー編と史実をベースにした事件が織り交ぜられていることです。
藤原北家、承和の変等々、複雑な平安宮中の権力争いの様が垣間見え、とても興味深い作品になっています。

ミステリー好き、政治ドラマ好きにはイチオシのおすすめ作品です。
阿・吽
奈良時代から平安時代に移る過渡期は、仏教の腐敗が著しい時代でもありました。政治権力と結びついた仏教は、病や飢饉に苦しむ庶民を救う存在ではなくなっていたのです。
そんな仏教の腐敗を嘆き、すべての人を救いたいというストイックな僧が現れます。それが、最澄でした。一方に、知識に飢える天才少年がいました。自分の命を懸けて知を求める彼は、後の空海。
『阿・吽』はそんな日本史に残る平安時代の天才、最澄と空海にスポットを当てた濃厚な作品です。
この作品には美術作品と見まがうような斬新な描写、そして容赦なく人が死んでいく展開も多いです。読む方にも「人を救う」ことへの重さ、二人の天才の苦悩が十分に伝わってきます。

桓武天皇を中心とした政治内の描写もあり、仏教と平安時代への造詣が深まるおすすめ作品です。
平安時代と言ったら陰陽師!安倍晴明が主役のおすすめ漫画
平安時代と言えば、陰陽師が活躍した時代でもあります。
ここでは陰陽師の代表格、安倍晴明を主役にしたおすすめ漫画2作品を紹介します。
陰陽師
安倍晴明を題材とした小説の代表作ともいえる夢枕獏先生の『陰陽師』をコミカライズしたのが、この作品です。
俗世とは一線を画すような不思議な存在の安倍晴明と人間臭い源博雅の不思議なエピソードが、優雅な絵で描かれています。
禅問答のようなこの世に対する問の数々は、哲学書を読んでいるような不思議な感覚に読者をいざなうでしょう。

特に物語後半はかなり独特な世界観が展開されます。
鬼との戦いもどこか雅な雰囲気が醸し出されており、不思議な優雅さを感じさせてくれる漫画です。
なお、時系列でいえば阿吽→応天の門→安倍晴明の時代(+源氏物語が書かれた『光る君へ』の時代)という形です。
『陰陽師』では、怨霊として菅原道真が登場したり、紀長谷雄(『応天の門』では道真の友人として登場するキャラクター)の名が上がったりしますが、これは『陰陽師』の世界では、『応天の門』の時代が過去のものである証拠です。
また、桓武天皇と平安京遷都について触れている部分は、『阿・吽』を読んできた人にとってはテンションが上がるところだと思います。
このように『陰陽師』は平安時代の歴史を振り返るような記述も多いため、ここまで紹介した平安漫画の総復習のような形でも読めますよ。
王都妖奇譚
『王都妖奇譚』もまた、安倍晴明を主役にした漫画です。
冷静な陰陽師と直情型の相棒(左近少将・藤原将之)という構図は『陰陽師』と似ていますが、こちらの安倍晴明はわりと人間ぽく、いろいろ悩んだりして(そしてその悩みを将之と交流することで癒したりと)感情移入しやすいです。
闇に落ちた兄弟子との対決という主軸もあり、物語の構図もわかりやすいでしょう。

伝記漫画っぽい力強い線で描かれるバトルシーンも魅力です。
陰陽師の世界をドラマティックに楽しみたいという人にはおすすめの漫画です。
オリジナル設定の平安時代の漫画も面白い!
最後に、オリジナル設定で描かれた平安時代の漫画をご紹介します。
歴史や原典が絡んでいない分、難しいことを考えずに楽しめるおすすめ漫画です。
なんて素敵にジャパネスク
数々の古典を訳している氷室冴子先生の代表作『なんて素敵にジャパネスク』をコミカライズした漫画です。
時は平安時代、大納言家の瑠璃姫は、大貴族のお姫様にもかかわらず、大胆でお転婆。そして初恋の君のことが忘れられず、結婚適齢期になっても生涯独身を宣言しています。そんな彼女に、幼馴染の高彬が求婚してきて…。

ラブコメっぽい前半、そして東宮をめぐる陰謀に瑠璃姫が関わっていく後半とぐいぐい読ませてくれる作品です。
原作の小説版はこちらです。
緋桜白拍子
白拍子とは、平安時代末期から鎌倉時代に活躍した男装の舞妓のことです。
『緋桜白拍子』の主人公・梓は、暗殺組織で育った捨て子。組織の分裂により、行き場を失った彼女は大納言家の養女になりますが、世間は左大臣の横暴に苦しんでいました。梓は白拍子の格好に扮し、悪人を抹殺するようになりますが…。
梓が得意とするのは、鋼の糸が付いた扇の武器。白拍子姿で男たちを舞うように倒していく姿は、正直かっこいいです。

少女漫画的な三角関係や組織をめぐるストーリー、そして最後にはちょっと驚きの仕掛けもあります。
美少女戦士ものが好きな人にはぜひおすすめしたい漫画です。
まとめ
この記事では、平安時代のおすすめ漫画を10作品紹介しました。
平安時代をもっと知りたい、という人はきっと楽しめるはず。そして、同じ平安時代にも様々な側面があることに気づかされるでしょう。
そもそも平安時代は非常に長く、前期と後期では全く雰囲気が違ったりします。
漫画を読みながら平安時代に興味を持ったら、平安時代の解説書や平安時代を舞台にした小説にも手を伸ばしても良いかもしれませんね。

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